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2000Hit記念作品(巨大すぎる点についてはスルー推奨――否、命令。つか汁!

2008年10月20日 05:42

マクロス


2000Hit記念リクエスト短編



 今日も今日とて平和なフロンティア船団。
 時々、バジュラが襲ってきたりするけど、元気です………多分。
 そんなマッタリとしたある日、アルトは美星学園での授業を終えるとルカと共にS.M.Sへと向かっていた。

「今日は、未確認宙域の調査ですね」

「ああ。クラン大尉の話だと小規模だがアステロイド群があるらしいな」

「ええ。一応、223のナンバーが振られています、まぁ仮ですけど」

「構わんさ。ついでに有量の多い小惑星を見つければボーナスも期待出来るな………」

「そう言えば先輩は、学費を自分で出されているんでしたね」

「ああ。奨学金って手もあるが、後2.0位のボーナスが出れば、満額が現金で出せるからな」

「凄いですよ、先輩」

 フロンティア船団最大の重工業体であるL.A.Iのお坊ちゃまであるルカにとって、苦学生と言ってよいアルトやミシェルの状況は、ある意味で驚愕であった。
 尤も、アルト自身も遡れば梨園の御曹司ではあったのだが。

「凄くはないさ。S.M.Sに入ったお陰だな。でなければ借金で首が回らないように成っていたさ」

 謙虚に笑うアルト。
 実際、母の遺産だけで暮していた頃は生活は厳しかった。
 まぁ今は、突然現れた女王様(・・・)のお陰で別種の苦しさがあったが。

「あの女王様、容赦なく俺を連れまわすからな。ナビだ、俺は」

「先輩、それってデートですよ」

 銀河の妖精とのデート。
 学園全男子垂涎の的ですよと笑うルカ。
 対してアルトは、チト、苦笑い。

「馬鹿言うな。アイツは俺を便利な下男扱いしているだけだぞ」

「でも、その時に飲み食いするのって全部持っているんですよね?」

「馬鹿。男子たるが女性と共に居るのに軽飲食費程度を持たずしてどうする」

「………ホント、先輩って――って!」

「…ん?」

 絶句したルカに、アルトが振り返る。
 そして視線を追う。
 そこには、大規模なスーパーへと入っていく一組の男女の姿があった。
 親しい事は、その距離で判る。
 まぁ、アルト達が歩いている一帯は若者向けの区域である為、ある意味で珍しくは無い光景だ。
 そして男の方も、ある意味で珍しくは無い。
 ミシェルだからだ。
 所要があると言って、EXギアの滞空訓練を先に抜けて行ったミシェルが女性と居るなど、まぁ珍しくも無い光景だ。
 そう、連れの女性が珍しかったのだ。
 それも極めつけに。

 特徴的な、ピンク色がかった金髪。
 美星学園の女性用制服を基本としながらも、その基調に学園指定のオレンジでは無くブルーを使うと云う、改造制服と云う言葉すらも生ヌルイ、改造制服を着た女性。
 シェリルだった、

「えぇー!?」

 仲良く笑いながらスーパーへと入っていく。
 これが被服店や装飾具店ならまだ、理解が出来る。
 女性とその周辺への造詣が深いミシェルに、シェリルが情報を聞いているかもしれないのだから。
 が、2人が入ったのはスーパー。
 衣類もあるにはあるが、廉い日用品が主体で、基本は生鮮食料品が主な店なのだ。
 ルカが驚くのも当然であった。

 対してアルトは、何とも言いがたい仏頂面であった。

「………行くぞ」

「え、先輩!? でも――」

「行くぞ」

「でも、先輩、良いんですか!?」

「I Ku Zo」

 後に、ルカは言う。
 その単語が何処か変で、硬かった、と。
 そしてその日のフライトは、編隊(エレメント)が何かギクシャクしていた、と。



-☆-





 非常に微妙な雰囲気での未確認中域の調査。
 その第1段階を行った翌日。
 美星学園のパイロット要請コースが誇るトップトリオは、少しだけギクシャクしていた。
 具体的にはルカが。
 何と言うか、アルトとミシェルの間に立っていた。

 その事に気付いたミシェルが、疑問を口にする。
 どうしたんだ、と。

「なっ、何でもありません、何でも!」

「いや、そんなに否定しなくても、なぁ姫?」

「………」

「姫? アルト姫??」

「あっ………あぁ。そうだな」

「?」

 怪訝な表情を見せるミシェル。
 S.M.Sに入隊して絆を深めた今は、アルトを姫扱いしても以前のような激怒をする事は無くなっていたが、それでも普通なら、嫌な顔の1つはするのだ。
 にも関わらず、それを華麗にスルーするアルト。
 その視線は何処か遠くを見ていた。
 ミシェルがルカを見る。
 何かあったのか、と。

 それに、苦笑してルカは勇気を振り絞って応えた。
 さぁ、と。
 人生に於いて誤魔化す事の大事さを痛感したルカだった。

「???」

 対して、ミシェルは要領の得ない顔をしていた。
 微妙な微妙な空気。
 それを誤魔化す為に、ルカは正しい勇気を振り絞った。

「所で、今日の規定飛行訓練はどうします?」

 やっぱりルカはルカだった。


 意図の不明なルカの言葉。
 それにアルトは乗る。
 何故、自分の心が晴れないのか――その理由が判らないままであったが、空を飛ぶ事に異存は無かった。
 最新のVF、VF-25Fを乗り回す事と成ったアルトだが、それ以上にEXギヤだけでの飛翔を好んでいた。
 風を掴まねば、高く飛ぶことも、永く飛ぶ事も叶わないEXギヤだが、同時に身一つで空を飛ぶ爽快さがあった。
 体を用いて空を飛ぶ。
 全てを傾けねば飛べぬ空。
 だからこそ良かったのだ。
 空を飛べば、空と一体となれば、それ以外の全てを忘れられるから。

「あぁ。少し遠くまで飛びたいな」

 シェリルの顔が浮かんだ。
 初めて美星学園にきた時の、本人の要請に従って飛んだ時の。

「………」

 甘やかなシャンプーの残り香まで蘇る。
 アルトは、己の顔が少し歪んだのを自覚した。
 だから一瞬、聞き逃したのだ。
 ミシェルの言葉を。
 だから、尋ね返した。

「……ミシェル?」

「あぁ。チト、野暮用でな。悪いが今日はパス。クォーターへは先に行っててくれ。遅れないようにするから」

 にぃっと笑う。
 そうそう浅く無い付き合いなのだ。
 アルトもその笑みが意味するものを誤解しなかった。
 女絡みか、と。



「まっ、程々にな」

「そうするよ。今回のはボランティアでな。どっかの馬鹿(・・・・・・)のフォローさ」

「ご苦労な事だ。ならトップを狙ってみるかな」

「ご冗談。1日2日で姫にひっくり返される程、主席の座は軽くないんでね」

「言ってろ」

 軽口の応酬。
 だがルカは、そこにそこはかとない不安を感じていた。
 例えて言うなら、マグマが溜まる感じである。

 だから、アルトや他のパイロット養成コースの面々と編隊を組んで飛んでいる最中にソレを発見した時、ああヤッパリと納得をしていた。
 そう、シェリルとミシェルが歩いているのを発見したのだ。

「………」

 相対速度が100km/時を越えているのだが、ルカとて現役のパイロット。
 しかも、S.M.Sでも精鋭の揃っているマクロス・クォーターにて厳しく鍛えられている身。
 その目は2人を確実に捉えた。
 ただ歩いているだけ。
 会話は判らない。
 だが足取りの軽さから愉しそうにしているのは判る。
 故にルカは思わず、ヘルメットバイザーにある録画ボタンを押していた。
 押してしまっていた。



「ふーん」

 それが、アルトの第1声であった。
 学園に帰還後。
 データ管理をしていた時、偶々にアルトが通りがかり、偶々に自動再生モードが入っていた録画情報が再生されており、そして偶々にアルトが並んで歩いている2人を見てしまったのだ。
 神様、貴方は僕がキライデスカと思わず聞きたく成る様な、奇跡の重なりであった。
 或いは、悪魔の哄笑を幻聴していた。

 が、その肝心のアルトは凄く軽い反応しか示さなかった。
 何事も無いかのように、その画像を凝視し、それが終わると己のEXギアの整備に戻っていった。
 訂正する。
 何でもない、カタパルトの溝に足を引っ掛けていた。

「あっ、アルト先輩」

「………何でも無い。何でも、な」

 ルカはその時、何かが溜まる音を聞いた。



 それからアルトは何事も無く行動していた。
 ルカから見て普通に、だが何処か歯車が合わない感じでアルトは歩いていた。

「大丈夫、ですか?」

「何がだ?」

「いや、その……ミシェル先輩と……シェリルさんが…………」

 その言葉を口にして、ルカは自分が地雷を踏んだような気になった。

 ルカが見ても、シェリルはアルトに気があった。
 授業中、何かがある度にアルトの方を見て、自慢したりするのだ。
 それを愛だのナンだのと言うのは、ルカは判らない。
 だが、アルトがシェリルにとって特別(・・)だと云うのは誰が見てもバレバレであった。

 そしてアルトも、シェリルの事を気に入っていた。
 パイロットコースの高嶺の花。人間嫌いのお姫様――そう評されていたアルトが、シェリルの我侭に付き合っているのだ。
 常に文句を口にするが、昔のアルトであれば文句を口にする前に居なくなっていたであろう。
 唯我独尊な所があったのだアルトは。
 にも関わらず、アルトはシェリルと一緒に居る。
 コレも、恋だのナンだのと言うかは判らないが、ルカにはアルトにとってシェリルが特別であるのは自明の理であった。

 そのシェリルが、女好きで知られたミシェルと一緒に居る。
 笑っている。
 笑っていたのだ。
 ルカは固唾を呑んでアルトの反応を見守った。
 が、その反応は予想外であった。
 少しの逡巡をし、そして言い切ったのだ。

「………知った事か」

 誰が何をしていようとも、俺とは関係ない。
 そう言って、強い調子でアルトは歩き出したのだった。

「あっ、待って下さいよ先輩!!」

 ズンズンズンズンと、アルトは歩いていった。


-



 スカル小隊での、第223のナンバーが正式に割り振られたアステロイド群の調査は順調に進んでいた。
 有望な資源衛星は見つからないが、それでもアステロイド群の調査が進むのは良い事なのだ。
 フロンティア標準時間で約3時間、タップリと飛び回ったVF-25たちはマクロス・クォーターへと戻って翼を休める。
 そして、パイロット達は士官室(ガン・ルーム)にて就眠前の時間を楽しんでいた。

 賑やかな雰囲気の士官室。
 標準時的には深夜も良いところの時間であったが、今は大統領非常事態令が出ているのだ。
 マクロス・クォーターも24時間体制で警戒にあたっている為、人が多かった。

 17歳にて成人として扱われるのがフロンティア社会。
 故にアルトとミシェルは軽いアルコールを。
 そしてルカはソフトドリンクを飲んでいた。

 しばしの歓談。
 警戒待機(アラート・シフト)に就いていたピクシー小隊まで加わって、何とも傭兵部隊(エトランジェ)らしい雰囲気になる士官室。
 皆が皆、笑っていた。
 明るく、静かに、騒がしく、冷静に。
 それぞれの人間らしい雰囲気で、態度で楽しんでいた。
 その時フト、ルカはテーブルの摘みが無くなった事に気付いた。

「どうした、ルカ?」

「アッと、一寸とお摘みが無くなったんで、甘いものでも用意してきます」

「甘い…か。だったらコレがある」

 そう言ってミシェルは床に置いていたバックから、小さな袋を幾つも取り出した。

「ナンだコレは? ミシェル」

 興味津々と顔を寄せたのはクランだ。
 そんな子供っぽい仕草に微笑みながら、ミシェルは袋を1つ開けた。
 甘い匂いが上がる。
 クッキーだ。

「今日、焼きたてのだ。美味しいぞ」

「うむ。確かに美味いな」

 早速手を伸ばしたクラン。
 その子供っぽい仕草のままに頬張って、それから笑顔を見せた。
 手にはもう1個、クッキーを握りながら。

「ミシェルは相変わらず菓子作りが美味いな♪」

「お褒めに預かり、光栄至極」

 気取った仕草で体を曲げるミシェル。
 誰もが愉しそうに小袋を貰っていく。が、アルトはそれを掌に握るだけであった。
 そして低い声で言葉を紡ぐ。

「………なぁ、ミシェル。コレも今日の野暮用なのか」

「それを聞くこと自体が野暮だな」

 気取った言葉のミシェル。
 が、それに過敏に反応した人間が居た。
 クランだ。

「ちょっと待てミシェル! またお前はナニをしていた!!」

 両手にクッキーを持って、プリプリと起こるクラン。
 その矛先から逃げる様にミシェルはバックステップ。

「ホラな、野暮な話になる。じゃ、後でな」

「待てミシェル!!!」

 士官室から駆けて行くミシェルと、追うクラン。
 誰もが笑っていた。
 2人を残して。

 ルカは、アルトが笑っていない事に気付いた。
 そしてクッキーの小袋を持った手に、力が込められていた事にも気付いた。

凝縮音

 小さな音と共に、小袋は圧縮されていく。
 中々に硬い筈のクッキーが、冗談のように簡単にペシャンコになっていく。
 女と間違えられそうな細身だが、同時に力持ちでもあるのだ、アルトは。
 でなければ、軽いとは云え女性1人を抱えてEXギヤで飛ぶ事は出来ない。

「アルト先輩?」

「ん? ん。何だ、俺のは粉だけだな。ミシェルめ、外れを1個混ぜたな………………まっ、味は良いんだが、な」

 ぺロリと指先で(クッキー)をすくって舐め、そして冗談好きな奴だとシニカルに笑うアルト。
 対してルカは笑えない。
 笑えなかった。
 無意識で遣ってしまう程にアルトの内にある感情――檻が溜まっているのだと理解したのだ。
 ルカは己が乳女神(ナナセ)に、祈りを捧げた。
 2人が喧嘩をしませんように! 喧嘩をしても自分が巻き込まれませんように!! と。
 そして最後に光在れ(バスト・レボリューション!!)と、祝詞を呟いていた。



-☆-





 第223アステロイド群の調査が終わり、ピクシー小隊に変わってアラート任務に就く事となったスカル小隊。
 所謂、待機中ではあったが、最外縁部でバジュラと接敵する5分待機にはフロンティア新統合軍が就いている為、その拘束はそれ程に強いモノでは無かった。
 パイロットスーツでは無くアンダースーツにジャケットを羽織って休んでいる面々。
 そしてオズマは、自分の部屋で書類整理をしていた。
 今だ実用試験の段階であるVF-25。故に、その運用情報を纏めて報告する義務があるのだ。

「書類仕事は好みじゃないんだがな」

「溜める方が悪いわよ、オズマ」

「そうは言うがな………」

 好みで無いのは好みで無いのだ。
 情けない言葉を漏らすオズマを、キャシーは笑って見ていた。

「そんな事を言って、ランカちゃんに怒られるわよ」

「くそっ。それを言われると辛いが………あぁ、キャシー、お茶にしよう」

 頭を掻いたオズマ。
 微笑んだキャシーが部屋付きのキッチンへと向かったとき、扉がノックされた。



「どうしたんだ、一体?」

 オズマの執務室へと来たアルトとミシェル、そしてルカ。
 要求は1つ。
 アラート待機の時間で、シミュレーターを使用させて欲しいと云うものであった。
 L.A.IがVF-25シリーズの開発と前後して実用化したソレは、実機さながらの状況で運用でき、そして負荷までも与えられると云う優れものだ。
 ある意味でゲーム的で、そして何処までもシビアなシステムだった。
 それを使用させて欲しいと言う。

「それが悪いとは言わんが………」

 言葉を濁すオズマ。
 現状の待機態勢であれば許可を出すのは問題は無いのだが、何故にそれ程にヤル気を出したのかが判らないのだ。
 S.M.Sでのパイロットの実働任務は厳しい。
 であるが故に待機任務中は皆が皆、体を休めるようにしている。
 それは新人であるアルトも、そして中堅の位置に居るミシェルも同じだった。
 今までは。

 硬い表情のまま並んでいる2人。
 何とも言いがたく、腕を組んで考えるオズマ。

「では宜しくお願いします」

 時計を見て、待機時間の残りを考える。
 シフト交代まで後、2時間程度だ。
 その時間内であれば、例えシミュレーターで疲労していても実戦には差し支えは無いだろう。
 そう判断したオズマは、ある程度は加減しろよと釘を刺すと、シミュレーターを管理する部局へと連絡をしれていた。

「有難うございます」

 共に折り目正しい敬礼を見せるアルトとミシェル。
 だからこそ、オズマは気になった。
 だから最後に、ルカに残れと命じたのだった。



「で、どういう事なんだ?」

 単刀直入に聞くオズマ。
 その言葉にルカは、少しだけ口ごもる。

「とっとと言え。でなければ上官抗命罪で仕事を押し付けるぞ」

 そう言って机の上の書類の山を顎で指してみせる。
 その呆れた量に圧倒されてか、ルカは渋々と口を開く。
 始まりは、待機室でのゲームだった。

「2人はポーカーをしていました。それはもう普通に………隊長、ここ数日の2人を見ています?」

「ん? いや、見ていないな」

 書類の山を見て、オズマは少しだけ眉を顰める。
 仕事を溜めすぎたな、と。
 それが言い訳にはならないと自認しつつ、ルカに続きを求める。

「最近、少し様子がおかしかったのです。それが――」

 ミシェルとシェリルを見て――そんな部分はぼかしつつ、ルカは言葉を紡いで経緯を再現する。

『ストレートフラッシュ。これで5連勝だな』

『…(ノーペア)だ』

 最初は普通に楽しんでいた。
 時間を潰していた。
 が、それがミシェルが馬鹿ツキしだしてから雰囲気が変わった。

『おっとフルハウス』

『……ワンペア』

 何かが降りて来ていたのかと言うほどに、ミシェルは勝ち続けた。

『おぉっと、こんどはフォーカード』

『………フラッシュ』

 アルトの手札も悪くは無かったが、それ以上にミシェルの手札が良すぎた。
 だから段々とアルトの放つ雰囲気が悪くなっていった。
 そして破局の始まりは、ミシェルの一言だった。

『姫は経験が足りないな。まっ、ゲームに限らずだが』

『経験値稼ぎか、昨日も一昨日も』

『いや、ここ数日のはボランティアさ。俺は愛の伝道師なんでね』

 ニカッっとばかりに笑うミシェル。
 対するアルトの表情は、無表情に近い。

『何だ、姫も経験したいのか?』

 なら、姫からバンビちゃんだなと笑うミシェル。
 それを端から見ているルカは、ナンと言うか心臓に悪いものを感じていた。
 アルトの内に溜まっていたものが、危険水位を突破しようとしているのが見えたのだ。
 てゆーか、よくぞ激情型のアルトが今まで暴発しなかったなぁとすら思っていた。
 矢張り他人(ミシェル)に非が無いとか、そもそもとして、何で自分が面白く無いものを感じているのか理解していないとか色々と理由は推測できたが、それももう終わりだろうとルカは、呆れめにも似た気持ちで、2人を見ていた。
 どうやって止めようかと考えながら。

『経験、ね。俺はいらないな』

『なに?』

 言葉に――と云うよりも口調に、ミシェルの表情が変わる。

『俺の好みじゃない』

『ほぅ? だったらどんな事がお好みなんだ、お姫様(チェリー)

『さぁな。だが無差別種まき(エロトマニア)は趣味じゃ無い』

『ほう、言うねぇ………』

『……ああ…………』

 笑い合う2人。
 笑顔であったが、それは恐ろしい笑顔であった。
 含み笑いが共鳴する。

『なぁアルト、少し体を動かさないか?』

『バルキリーでなら、許可が出るだろ』

『悪くは無いな』


 そして、オズマの所へと来たのだと言う。
 何とも判りやすい話だった。
 若者らしいとも言えた。
 そして航空戦隊では良く在る話とも言えた。
 喧嘩をするよりも、訓練で発散しようとした辺り、まぁ評価も出来る話であった。

「まっ、そう言うことならな………俺も後から行く。ルカはあの2人が遣り過ぎん様に注意しておけ。制止には――そうだな、俺からタンゴ小隊(ファミリー)のウォーレンに伝えておく。あいつなら上手く止められるだろう」

 古参のVF乗りの名を上げる。
 直接戦闘(ケンカ)になりそうだとルカが判断したら、ウォーレンの協力を貰って鎮圧しろ、と命じる。

「良いんですか、隊長?」

「血気も無い奴よりはマシだ――キャシー、悪いがペースを上げる。今日の必須分をさっさと仕上げないとな」


-



 そして今。
 オズマがキャシーと格納庫の扉を抜けた時、丁度大きな歓声が上がっていた。
 何事かと見れば、シミュレーターの置かれた一角に大きな人だかりが出来ていた。
 筐体の傍に大型のディスプレイが配置され、それを皆が見上げている。

「何が起こってるんだ?」

 顔を見合わせるオズマとキャシー。
 そこへルカが笑顔で現れる。
 胸のポケットは紙束で大きく膨らんでいる。

「お疲れ様です隊長」

「コレはどうしたんだ?」

「えっと、ウォーレン副長の提案で、どうせ見ているなら賭けをしよう、と」

 で、こうなったと言う。
 既に終業時間も近かったと云う事と、もとより規律よりも技量上等の民間軍事プロバイダー(マーセナリー)
 平時の規律には煩く無かったのだ。
 であれば、こんなイベントを楽しまない筈が無い。

 オズマは、陽気なタンゴ2の顔を思い出して、アイツに仕切りを任せた時点で、コレもアリかと受け入れていた。

「で、今のオッズはどうなっているんだ?」

 オズマの切り替えも早かった。
 その横のフロンティア新統合軍の正規士官であるキャシーは、呆れたように首を横にふっていた。

 尤も、そんなキャシーもドリンクのグラスを取って大画面を眺めている時点で、何と云うか染まったな(・・・・・)と評すべきなのだろう。



 そんな馬鹿騒ぎをしている面々の前で、アルトとミシェルは真面目に戦っていた。

『だいたい、お前がハッキリしないのが悪いんだろうが!』

『何の話をしていやがるっ!?』

 お互いの背中を取ろうと格闘戦(ドックファイト)
 戦場は宇宙。
 地球型惑星の衛星軌道上であった。
 重力やデブリ、果ては空気摩擦等の悪条件下であったが2機のVF-25の機動は些かも衰えていない。
 激しい機動。
 男と男の意地のぶつかり合いだった。

『そうやって判らないフリをするのが気に入らないんだよっ!』

『フザケルな!!!』

 反抗戦。
 一瞬の交差は、お互いにミサイルを発射する余裕を与えず、機銃を互いにばら撒くだけに終わった。
 変形から急減速、そして最加速を行うアルトに対し、ミシェルは速度を殺さぬ様に飛ぶ。
 その代償は旋回半径の巨大さであったが、再加速に必要な時間を削る事が出来た。
 後ろを取られたが、速度の差からアルト機のミサイル射程から逃れた。

『ちぃっ! 』

『甘いな、お姫さま?』

『ざけんなエロスナイパー!』

 スロットルを全開にして、一気に距離を積める。
 スーパーパックの冷却能力を超える推力を引き摺りだした為、警告灯がディスプレイに表示されるが無視。
 中距離ミサイルを発射する。

『そんな距離で当たるものかよっ!』

 が、回避機動によってミシェル機は直線機動を取れず、アルト機に距離を詰められる。
 対空レーザーで牽制するが、自機も激しく機動をしながらである為、当てる事が出来ない。

『貰ったぞ、ミシェル!』

『まだだ。まだ詰めには足りないなっ!!』

 先ほどのアルト機と同様に、急変形と急減速、そして再加速を行う。
 違いは、アルトよりもその機動が洗練されていたと云う事。

『なっ!?』

『誰が教えたと思ってやがる!!』

『ぬかせ!』

 腹立ち紛れに短距離ミサイルを放つが。
 簡単に回避されてしまう。

『ええぇい。お前はチャラチャラし過ぎなんだよっ!』

『そういうお前は、古臭過ぎるんだよっ!』

 アルト機を交戦エンベロップに捉えた瞬間、ミシェルはミサイルを放つ。
 スーパーパックに残されている全弾を一斉に。

 包み込む様に広がってくるミサイル。
 前方上方後方、退路は無い。

『ぬぉぉぉっ!!』

 アルトは、自機のスーパーパックを分離し、それを囮として回避する。
 下方へ。
 大気圏へ。



「激しいわね。まるでライトスタッフ(マクロス・プラス)ね」

 シャロン事件を元に作られた映画――空に挑むもの達(ライト・スタッフ)の名を口にするキャシー。
 一大ヒットとまでは行かないが、宇宙時代のトップガンとの異名を与えられる程には売れた映画だった。 

「若いって事さ」

「あら、敗北宣言?」

「いや、俺ならああなる前に墜としている。それだけさ」

 自信満々に言い放つオズマに、キャシーは愉しそうに笑う。
 その時、オズマを呼ぶ声がした。


『中々に愉しそうな事になっているな?』

 艦長のワイルダーだった。
 口元が笑っている。
 格納庫で何かをしていると報告があり、確認をしたのだろう。
 オズマは経緯を説明する。

「総括すれば、迸る若さって所ですかね」

『経験者は語るっと云う事かね?』

「ご想像にお任せします」

『はっはっはっ。所で、だ』

 真顔になるジェフリー。
 しっかりとオズマを見る。

『オッズはどうなっているのね?』

 主宰にウォーレンが絡んでいるのだ。
 どうせ賭けているのだろ、と続ける。
 その発想、何ともオズマに近かった。
 否。
 オズマが染まったのかもしれない。
 新人時代のオズマが初配属された基地司令がジェフリーなのだ。
 部下は上を見て育つ。
 特にそれが新人であれば、なお更である。
 ある意味で、似ない方がおかしかった。

「胴元はルカです。艦長も一口乗りますか」

『乗らんはずが無かろう』

 笑う師弟。
 其処へ、気を利かしたキャシーに呼び出されたルカが顔を出す。

「お呼びですか?」

『スマンが私も一口噛みたくてな』

「はい。今のところは7:3でミハエル少尉の側が有利です」

 まだ新人と行ってよい経歴しか持たぬが、激戦を経て幾つもの戦果を上げてきたアルト。
 だがそれでもまだ、ミシェルに一日の長があった。

『少し待ちたまえ………モニカ君、すまんが――』

 ジェフリーはモニカのお陰で手元の端末にシミュレーターの状況を呼び出し、艦長席に居ながら空戦の状況を把握する。
 数秒、凝視する。
 それは艦長ではなく、ウィングマーク持ち(パイロット)の貌であった。

 1つ頷くと、ルカにベット先を口にする。
 それはルカはおろかオズマも予想しなかったものだった。

「宜しいのですか?」

『勘だがね』

 茶目っ気たっぷりに笑うワイルダー。
 その時、歓声が上がった。

『間に合ったかな?』


 誰もが注目する大型ディスプレイでは、絡み合って墜ちていく2機のVF-25が映っていた。



 Game Overの文字だけが暗い筐体内で輝いている。
 全身全霊を投じての模擬戦は、アルトから精魂を奪い尽くしていた。
 荒い息のまま、ヘルメットを取る。
 汗で髪が肌に纏わりつく。
 体中が重かった。

「っ…」

 小さな舌打ちをするアルト。
 勝つ気だった。
 勝ちたかった。
 どうして自分はこれ程に焦燥に駆られたのか。
 悔しさに包まれたのか。
 そんな纏まりが出来ない、明瞭に考える事の出来ない事に想いを馳せる。

『もう一度するか?』

 繋ぎっぱなしのミシェルからの言葉が聞こえる。
 その言葉を聞いて、不思議と苛立ちは感じなかった。
 それまでの、身の内を焦した思いは、今はもう感じられなかった。
 何と云うか、受け入れられたのだ。
 だから、再戦は又、と口にする。

『そうだな。今日は十分だろ――出るか』

「ああ」

 通話回線を切る。
 そして筐体のシステムを落す。

 ため息。

 想いを馳せるのはシェリル。
 何故に自分がかき回されるのか判らなかった。
 気紛れで我侭。
 でも何故かほっとけない。

 何故。
 応えの出ない思いに、苛立ちを感じる。

「くそっ!」

 汚い言葉を吐き捨て、そして頭を掻き毟ってから筐体から出た。



 明るい格納庫。
 多くの人間がコッチを見ている。
 拍手している人間すらも居る。

「?」

 隣から出てきたミシェルを見る。
 此方も、肩をすくめている。

 オズマがやって来る。
 苦笑いを口元に浮かべてながら。

「スッキリしたか?」

「まぁそれなりに」

 肩を竦めるミシェルに対し、アルトは黙って頷く。

「なら言い。今日は艦長の奢りで飲むから、とっとと着替えて来い」

「何で又?」

「お前らのお陰さ。丸取りになったからな」

 俺も巻き上げられたと苦笑するオズマ。
 ジェフリーは、相打ちに賭けていたのだ。
 この格納庫でただ1人だけ。
 故に1人勝ち。

 それを元手にジェフリーは宣言したのだ。
 払いは私持ちで飲みに行くぞ、と。
 何と云うか、見事なまでのトップの資質と言うべきか、或いは組織マネジメント力と言うべきか。

 何にせよ、マクロス・クォーターでジェフリーを嫌う人間がとんと居ない理由は、こんな所にあった。

「そういう訳だ。急げよ」

「隊長、アルトは参加しません」

 そう言ったのは、ミシェルだ。
 顔がニヤついている。
 右腕をアルトの首に掛けている。

「何でだよ?」

「お前には待ち人居るからさ」

「はぁ?」

「いいからいいから。とっととお前は着替えて本部棟の前の公園に行って来い。お前を待っている人間が居るんだ」

「いきなり何を言っている?」

「人生は驚きの連続さ。コレもサプライズ」

 意味不明なミシェルの言葉に、アルトは首を傾げる。
 そんなアルトをミシェルはニヤニヤと笑って見ていた。


-



 S.M.S行きつけ、娘々へと向かった一同とは別に、S.M.Sの本部棟前に広がっている公園へと行くアルト。
 意味不明なミシェルの言葉であったが、そこに悪気が無いのは感じられた。
 だからこそ、苦学生にとって貴重なロハ飯の機会を振って、コッチへと来たのだ。

 腕時計を確認するアルト。
 ゴツイ航宙パイロット用時計(クロノグラフ)の文字盤は、2137を示している。
 出歩くにはやや遅い時間だ。

「誰なんだか」

 頭をふるアルト。
 いや、少しだけ期待していた。

「遅いわよ、アルト!」

 だからその声を聞いたとき、一瞬、幻聴に思えた。
 こんな場所に、こんな時間に居る筈が無い。
 そう思えたからだ。

「シェリル?」

 振り返ったが誰も居ない。
 幻聴だったかと納得しようとした瞬間、もう一度、声が掛かる。

「コッチよ!」

 ベンチに座っていた。
 可愛らしく手を振っている。

「おいおい」

 思わず呆れた声を漏らすアルト。
 足は自然と、シェリルの傍らを目指すが、頭は別のことを考えていた。
 治安の良い事で有名なフロンティア船団であるが、かといって全く不埒者が居ない訳では無いのだ。
 全くもって、と、そんな気分になった。

 そして同時にもう1つ疑問を抱く。
 何故に俺を呼んだのか(・・・・・・・・・・)、と。
 少しだけ、ふて腐れた様な気分で傍らに立つ。

 シェリルがベンチの隣を手で叩くが座る気には成れない。
 そういうのは、好みで無いのだから。
 大方、ミシェルを待っている途中で知己を見つけて声を掛けたのだろうと納得する。
 させる。
 させた。
 だから、早々に分かれられる様に言葉を紡ぐ。

「ミシェルは娘々に行ったぞ? ここで待ってても無駄だ」

 些か尖った表現になった事は、自分でも否定できない。
 が、何故か今はそんなささくれた気分なのだ。
 ミシェルの女関係が派手なのは今に始まった事では無いし、シェリルは――どうなんだ? シェリルとミシェルが付き合おうとも、当人達の勝手だ。
 にも関わらず、何故に自分がシェリルでココまで心をかき乱されるのかと自問した時、意外な答えが返ってきた。

「何故、ミシェルが出てくるのよ。アタシは貴方を待ってたんだけど?」

 心底不思議そうに首を傾げたシェリル。
 意味が判らない。

「それは光栄だが、何故だ?」

「リベンジ」

 自信満々に言い切って、シェリルはサッと袋をアルトへ突き出した。
 可愛らしいラッピングが施されたソレからは、甘いに匂いが漂っていた。

「おっ、おう」

 思わず両手で取るアルト。
 仄かに暖かいのは、シェリルの残り火だろうか。

「コレは………」

リベンジ(・・・・)

 袋の匂いをそっと嗅ぎ、それから口を開けるアルト。
 そこにあったのは紛れも無いクッキーだった。

「心して食べなさいアルト。前回の失敗作なんかとは違うわ。あの時はチョット調子が悪かっただけ。本気を出した銀河のトップアイドルお手製のクッキーなのよ。こんな経験、滅多に出来ないわ」

 自信満々。
 だけど、何処かしら伺うような雰囲気でアルトを見ているシェリル。
 だが、それに気付かぬままにアルトは袋の口を開ける。


「クッキーか………」

 出てきたのは、丸い形のクッキーだった。
 些か不細工なのはご愛嬌、そんなクッキーだった。
 一見しただけで、手作りと判る。

 それでアルトは思い出した。
 リベンジと云う言葉の意味を、理由を。
 それは3日程前の事であった。


 美星学園パイロット養成コースの授業の一環で、非常食の作成と云うものが含まれていたのだ。
 非常食が無くなっても、手持ちのもので飢えを凌ごうと云うのが基本コンセプトで、まぁ経験と云うか体験学習みたいな、ある種のお楽しみ授業である。
 授業自体は簡単に終わった。
 が、そこから問題が始まる。
 1人のお調子者の生徒が言い出したのだ。
 余った食材――小麦でクッキーを焼こう、と。
 そして、基本的にポジティブ過ぎるきらいのある美星学園の生徒達は、その意見に乗ったのだ。

 丁度、非常食作成の授業が昼直前のモノであったのが幸いし、皆が盛り上がった。
 そして最後はお約束の品評会。
 ルカは、用量用法をキッチリ守った味だった。
 アルトは、意外な事に中々に美味しかった。
 そして、意外な事に一番に美味しかったのはミシェルのだった。
 その要訣を聞かれて本人曰く。
 一寸したテクニック(・・・・・・・・・)と応えていた。
 誰もが、ナンパの小道具として習得したんだろうなと納得していた。
 そして最後にシェリルのクッキーだ。
 どうぞ、とシェリルが言うや否や、盛られた皿は血走った目をした生徒達によって凄まじい争奪戦を受け、その呷りを受けて粉砕し、そしてクッキーは砕け踏まれ、喰えなくなってしまっていた。
 ただ1個を除いて。
 アルトに差し出された1枚を除いて。
 たった1枚を残したシェリルの乙女心に、ルカは頬を赤らめ、そしてミシェルは口笛を吹く様な仕草をした。
 が、アルトは気付かない。
 芸銃的な迄の鈍さを発揮し、貰ったクッキーを2つに自分も喰えよと、シェリルに渡した。
 自分の行動がどれ程に恥ずかしいのか、理解せぬままの行動。
 ルカは「青春ですね」っと益々に顔を赤らめ、ミシェルは「コレが天然の強さかっ」と呆れていた。
 そして残る男子学生は、鼻息荒くアルトを睨んでいた。
 そして女子学生も、顔を赤くしてアルトとシェリルを見ていた。

 そしてアルトはクッキーを齧る。
 シェリルも齧る。
 アルトは、平素な顔で1言、悪くないなと笑っていった。
 その時、シェリルは顔を動かさなかった。



「態々と作ったのか」

 不味いクッキーを食べて、それでもシェリルの面子の為に、その事を口に出さなかったアルト。
 リベンジと言うから、そう言う事なのだろうと納得するアルト。
 1つを口にする。
 美味かった。
 が、同時に何処かで食べた味だった。

「どう?」

「美味いな」

 それまでの不安げから一転して、花が綻ぶ様な笑顔を見せるシェリル。
 アルトは気付かぬままにそのまま平らげる。

「しかし態々、待って無くても良いんじゃないか?」

「そうしたかったから――それだけよ」

 気紛れと言うシェリル。
 だが本当は違う。
 料理が下手だと思い込まれることが、乙女として悔しかったのだ。
 だがそれは言えなかった。
 シェリルは自分の感情を持て余していた。
 たかがクッキーなのだ。
 それを作れぬからと云え、どうだと言うのだ。
 にも関わらず、悔しくて作り直した。
 他人に真面目に聞いて練習もした。

 だけど、その感情をどうにも処理のし様が無く、だから、気紛れと云う仮面を強く被ったのだった。

「確かに自慢したい、良い出来だな………」

 ぺロリと指先に残った粉を舐めたアルト。
 その瞬間、全てが繋がった。

 シェリルがミシェルと居た理由が。

「練習、してた訳か」

 最初のスーパーは、生鮮食料品もだが、お菓子類の材料も豊富なことで有名な店舗だった。
 ミシェルが持ってきたクッキーを持ってきたのは、コレの練習作品。
 作ったことを知っていたから、待っていると知っていたから外へ行けと言ったのかと。
 そもそも、ミシェルのクッキーとシェリルのクッキーは味が似ていた。
 限りなく。

 そこまで考えたとき、アルトの胸にあった違和感がストンっと消えた。
 身が軽くなる様に感じられた。

 だから、その気持ちを零さずに笑いへと転化させる。

「凄いな、全く」

 この妖精さんには何時も驚かされる。
 そんな笑いだった。

「何よ、いきなり………」

「何でもない。しかし美味しいな――っとと、シェリル、夜は喰ったか?」

「まだよ」

「じゃぁ何処か行かないか。奢るぞ」

「………だったら、そうね、アルト、あんたが作りなさい」

「はぁ? いきなり何を言い出しやがる」

「当然の要求よ? 私の手料理を食べたんだから、それへのお礼は相応になるわよね、普通」

「あーはいはい。ったく。この時間から開いてる生鮮食料品店って何処にあったかな――メニューに文句を言うなよ?」

「メニューにはね。味は気合を入れなさいよ?」

「はいはい、妖精さまの仰せのままに」

「アルト、私は只の妖精じゃないの。銀河の妖精よ?」

「了解」

 他愛も無い会話をしながら歩き出す2人。
 その距離は、何時もより少しだけ近かった。





 2人が出て行った公園。
 その茂みから輝くものが見えていた。
 レンズ――双眼鏡だ。

 梨園の御曹司と銀河の妖精。
 そんな2人の写真を撮れば、ゴシップ紙はどれ程のお金を出すだろうか。
 だが、これはそんなモノではなかった。

「やれやれ世話が焼けるぜ?」

 そう言ったのはミシェル。
 その脇にはルカが居た。

「ミシェル先輩も優しいですから」

「ナニ、当たり前な事を。それよりも早く行くぞルカ。隊長たちが行ったんだ。食材が尽きる前に入らないと、何も喰えんぞ!」

「それは大事! 急ぎましょう」






 それは、平和な頃の一こまだった。
こゆう愉しく喧嘩しているのがスキー
 お題がお題とゆーか、内容が無いようだったので、拾い物JPG様にもう一回、ご登場を願いまして(お


 さてさて皆様、欠くも恐ろしく巨大化しました、2000Hit愚作、お楽しみ頂けましたでしょうか。
 そしてお題を出して頂きました、min様、御笑納して頂けましたでしょうか。
 お題は「アルトの嫉妬」と「S.M.Sを巻き込んだ騒動」とお受けいたしましたので、かの如く相成りました。
 戦闘シーンをポンポン入れようかとも思ったんですが、アルトは以外と常識人(カミーユよりは…多分)ですんで、コメディ系に振らんと、S.M.Sを巻き込めなかったんで、こゆう形と相成りました。
 最初は腸時空シンデレらんかチャン系の時間軸で、地球統合軍から若手爽やか系のパイロットが着てとか想定したんですが、その場合、マジで洒落にならないシェリル争奪戦とか、あーフロンティア新統合軍vs地球統合軍との全面戦争とかへと妄想が至ったんで、キャンセルと相成りました(w
 いや、マジデ黒すぎるんで(お

 まぁ、ネタ自体はそのうちに流用しますけどね(人生、七転八倒<かなり間違い



 が、しかし大きすぎる(w
 ナンでこんなに巨大化したんでしょうかねぇ。
 オマケに、かなり時間を食うし。
 本当は、昨日のウチに仕上げる予定だったんですが、後半に筆がノッテですな(w
 いや、止まらない止まらない。
 てゆーか、オチのある話ではなく、起承転結を念頭に書いたら、結構時間が掛かりました。
 んがー
 文才ないですねー>俺

 まっ、今に始まった事ではないですが。
 ではでは〜


コメント

  1. min | URL | -

    ありがとうございました^^

    こんにちは、minです^^お話拝読しました〜!!
    こんなに早くUPなるとは思わず嬉しい限りです^^
    相変わらずw鈍感アルトに意地っ張り妖精様ですね(笑)
    でもパソ前でワクワク・ニヤニヤしながら拝見しましたv-238
    それにつけてもミシェル先輩も素敵すぎますwドックファイト中にも
    かかわらず後ろから張り線でぶっとばしてやろうか思いましたよwアルトにw
    SMSメンバーもみんな男前すぎますw艦長に惚れそうです(笑)目の前の文章が映像になったら凄く楽しそうだと、できたら本編で学園がらみで作ってもらいたいぐらいに思いましたw回りをいいだけ振り回してきっとこの二人は???状態で痴話喧嘩を繰り広げそうですw二人のラブラブにも萌えますが気づかないうちに繋がってるそんなお話も凄く好きです!わがままな希望をかなえていきだきありがとうございました^^
    それにしても腸時空シンデレらんかチャン系の時間軸でのシェリル争奪戦・フロンティア新統合軍vs地球統合軍との全面戦争とかも読んでみたい気もしますw黒アルトさん(この場合シェリルとすでにちゃんと繋がっている・決して譲れないものシェリルw)が見てみたですねw今回は本当にありがとうございました。これからも楽しいお話まってますね!!!

  2. 闇鍋奉行ケイ氏 | URL | -

    お楽しみ頂けて、光栄で御座います♪

     いや、リクを受けて書くってのは10年以上ぶりだったんで、かなりドキドキしていました。
     相手の希望と自分の技術、趣味とかそこら辺の兼ね合い、バランスがエレェシビアですんで>リクエストモノ
     ですが、コメントを読むに楽しんで頂けていたみたいなので、本気で良かったです。
     S.M.Sは書いていてもノリノリで、かなり楽しみました(笑
     やはり心臓はビス留めとか血の代わりにケロシンが流れているとか、艦番は88なナニでアレがねー です(爆

     後、アルシェリはサイコーの喧嘩カップルです。
     うん、もうね、Las派で旗派と筋金入りの喧嘩カップル党の中の人としましては、アルシェリはサイコーで御座います。
     うん。
     ルリは別腹で(WWWWWWWW

     まっ、それはさておき。
     フロンティアvs地球、ギャグなら良いんですけどね………てゆーか、アルトの嫉妬って部分がね、うん、なんと言いますかブッチ出来るんなら、簡単に回せるんですけども(お
     まぁ、する時は本気でギャクだと思います。
     うん。
     新シリーズ「Jェリルとめるとの小劇場」みたいな?
     まぁ全ては、2chシェリルスレに敬意を払ってですが(爆

  3. 闇鍋奉行ケイ氏 | URL | -

    拍手及び感想、有難う御座います

     最初は、拍手機能で個別レスを打っていたんですが、コレってもしかして使い辛い? とか思ったので、コチラにも感想への返信を書きたいと思います(無論、アッチにも書きます(えぇ、結構ディープに)が、まぁ一応、ですな。

    To:辻音楽士様
     全く同意致します。
     少しづつ少しづつ距離を近づけあう2人。
     すれ違ったり喧嘩したり、でも気になるお互い………
     うはーっ 超萌スですよ? デスよ?(大事な事ですので2回発言

     一目ぼれ系も嫌いじゃ無いんですが、こーね? ちっくりと距離を詰めていく2人ってのが、シュチュエーションは無限だし、なんつーか萌え所は満載だしと、愉しい部分が多いのですよねーっ!
     アルシェリ、サイコー?
     うん。
     第25話とか、見れば見るほどアルシェリにしか見えん。
     監督他スタッフの言葉は全て、劇場版への迷彩にしか見えん。
     うん、アルシェリフィルター全開ですが何か(そろそろ病院へ

     とっとと。
     で、ですな。
     えーこの手の恋愛シチュがスキでしたら、<デュアル! ぱられルンルン物語>をお勧めしちゃったりします。
     チト古い作品ですが、コレも芸の細かい距離感の描写とかが面白いです。
     うん。
     ソファーの座る位置とかがねーとか。
     ねー
     うん。
     非常に愉しい♪


     後、個人的には<スクールランブル>の方も微妙にお勧め。
     いや、主人公が鈍感馬鹿で、ヒロイン(の1人)が男前の女の子で、ですな。
     まぁコッチはマクロスfの本編以上に、ヒデェ終わり方をしてますんで、余り、万人にはお勧め出来ないんですがね………



     兎も角、感想、有難う御座いました。
     いつもいつも有難う御座います。
     拍手も嬉しさを感じるのですが、言葉を読ませて頂く嬉しさは、格別のものでありますからして。


     ではでは

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